本文へ移動
TORENDIA

電気鳩

本文約25,100字 ・ 読了時間 約51分

あらすじ(AIが作成しました)

高一とミドリのきょうだいが飼う鳩の群れが、ある日現れた青く輝く奇妙な鳩によって騒ぎ立てる。この鳩は触れると電気が走り、飛行列車を墜落させるなど恐るべき能力を持っていた。事態を重く見た高一は、愛犬と共に追跡を試みるが、スパイ団に捕らえられ貨物船へ連行される。敵の拠点で電気鳩の制御装置を入手した高一は、巧みに鳩を操り敵を撃退する。父である秋山技師を救出し、駆けつけた陸戦隊と共に島を奪還して物語は幕を閉じる。

海野十三

🎧 まだ音声版はありません

リクエストが集まると、作家に音声化の需要が伝わります。

💰 この本を応援する(投げ銭)

1 / 30

あやしい鳩

高一とミドリのきょうだいは、伝書鳩をかっていました。

もともとこれは、お父さまがかっていらっしゃる鳩なのですが、お父さまがある大切なご用で、とおいところへお出かけになってからは、二人のきょうだいが世話をしているのです。

鳩はみんなで十羽いました。半分は金あみをはり、半分は板をうちつけて作ってある鳩舎のなかに、かってあるのです。鳩舎は、お家のうらの丘のうえにおいてありました。鳩は、とてもよくきょうだいになついていました。

そのなごやかな鳩のむれが、どうしたことか、ちかごろなんとなくおちつかないようすです。きょうだいが気をつけていますと、たしかにへんです。ふだんならば、鳩たちは一日中鳩舎のまわりに、なかよく、くうくうとないているのですが、それがときどき、にわかに羽ばたきもあらあらしく、いっせいに空にまいあがってさわぎます。はては、お家の屋根につばさをおさめて、おちつかないようすで、あっちへいったりこっちへきたり、きょろきょろと、下をうかがっているのです。鳩たちはどうしておちつかなくなったのでしょう。

その日もゆうがたのことでしたが、鳩たちは空にいりみだれて大さわぎをはじめました。高一とミドリは、いそいで鳩舎にかけつけました。すると、鳩舎の上には一羽の鳩がのこっていました。

「オヤ、へんな鳩がいるぞ」

「うちの鳩じゃないわ。どこのでしょう」

それは、みなれない鳩でした。

ふつうの伝書鳩なら、ぜんしんは石板色で、首のところに金みどりのぶちがあるのですが、いま鳩舎の上にのこっている鳩は、からだの色が、紺青で、そしてつばさのさきには、ふとい金のすじが二本とおっていて、よくみればみるほど、かわった鳩でした。その上その鳩は、まるでつくりもののあしでもつけているように、みょうに両足をひきずって歩くくせがありました。

「もっとよく見てやろう」

と、高一は鳩舎の方にちかづきました。

そして青い鳩に、ぐっと手をのばしたところ、思いがけなくもゆびさきが、電気にふれたときのようにぴりぴりとしびれました。

「あっ――」

海野十三の他の作品

同じジャンルの朗読つきの本