本文へ移動
TORENDIA

或る心持よい夕方

本文約480字 ・ 読了時間 約1分

あらすじ(AIが作成しました)

日比谷公園でラジオから流れる住み込み女中の求人放送を聞き、聴取料の値下げや取締り用ラジオ自動車など、当時のラジオをめぐる世相を綴る宮本百合子の随筆。

宮本百合子

速度
🎧 或る心持よい夕方 / 朗読音声: VOICEVOX:青山龍星

💰 この本を応援する(投げ銭)

1 / 1

或る心持のよい夕方、日比谷公園の樹の繁みの間で、若葉楓の梢を眺めていたら、どこからともなくラジオの声が流れて来た。職業紹介であった。

ずっと歩いて行って見たら、空地に向った高いところに、満州国からの貴賓を迎えるため赤や緑で装飾された拡声機が据えつけてあって、そこから「年齢十六歳前後、住む込みで月給七円、住みこみで月給七円」と夕空に響いているのであった。

私はパパ、ママはいけないという松田文相の小学放送の試みや、ラジオにでるにはなかなかお金がかかるんでねえと打ちかこった或る長唄の師匠の言葉などを思い出しながら、その声をきいているのであった。

聴取料が五十銭になったことは、ラジオに対する大衆の親しみを増し、何よりのことと思う。ところでこの間馬場先を通っていたらかねて新聞で披露されていた犯人逮捕用ラジオ自動車が消防自動車のような勢でむこうから疾走して来た。通行人も珍しげにそれをよけて見送っていた。ふと私は民間自動車のラジオは許されていず、その設備のある新車体はセットをはずして車体検査を受けねばならぬという事実を想い起し、改めて悠々と走り去るラジオ自動車を眺めた。

完

宮本百合子の他の作品

🎧
あとがき(『作家と作品』)
宮本百合子 ・ 約2分
🎧
あとがき(『宮本百合子選集』第四巻)
宮本百合子 ・ 約6分
🎧
はしがき(『女靴の跡』)
宮本百合子 ・ 約2分
🎧
あとがき(『宮本百合子選集』第五巻)
宮本百合子 ・ 約9分
🎧
あとがき(『宮本百合子選集』第七巻)
宮本百合子 ・ 約3分
🎧
あとがき(『宮本百合子選集』第六巻)
宮本百合子 ・ 約10分
🎧
あとがき(『宮本百合子選集』第二巻)
宮本百合子 ・ 約11分
🎧
あとがき(『伸子』)
宮本百合子 ・ 約3分
🎧
はしがき(『文芸評論集』)
宮本百合子 ・ 約4分
🎧
あとがき(『宮本百合子選集』第九巻)
宮本百合子 ・ 約13分
🎧
あとがき(『モスクワ印象記』)
宮本百合子 ・ 約3分
🎧
あとがき(『二つの庭』)
宮本百合子 ・ 約6分

同じジャンルの朗読つきの本