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TORENDIA

母親の心理学

本文約640字 ・ 読了時間 約2分

あらすじ(AIが作成しました)

小児科医の診察に介入する母親たちの姿を例に、専門家への不信感や知識の誇示がもたらす弊害を指摘する。学校と家庭の連携が単なる形式に留まっている現状を憂い、子供の将来を担う親が家庭外の教育現場や他者の子供に対して無関心である現状を問い直す。家庭と教育機関の円滑な協力関係を築くためには何が必要か、専門家としての矜持と親の責務の在り方を考察し、子供を持つ母親へ向けて深い省察を促す内容を収める。

岸田國士

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🎧 母親の心理学 / 朗読音声: VOICEVOX:玄野武宏

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ある知人の小児科医がかつて私に云つた。「近頃は生意気なお母さんがふえて、診てもらふ子供の病名を先に云ふのがゐる。今これ/\の手当をしてゐるなどゝ得意になつてまくしたてるのがゐるよ。困つたもんだね。まるでお母さんが自分の医学知識に折紙をつけさせようと思つてわれわれの処へやつて来るみたいだよ。さういふのは、得て誤診と相場がきまつてゐる。生兵法大怪我のもとつていふのは医術の場合にもあてはまるんだ」

この話を聞いて、私は、暗然とした。どうしてかう世の中のことはうまくいかないんだらうと思つた。

学校と家庭との協力、或は連絡といふことが屡々教育者の口から叫ばれてゐる。

子供の成績が悪くなり、或は、学校に行くことをいやがる原因について、率直に、母親と学校教師とが研究し合ふ道がどこに作られてゐるか?

自分の子供の義務教育を委せるべき学校の諸方針について子供の将来に全責を持つべき世の親たちは、どれだけの意見や希望をどういふ方法で十分円滑に学校当局に伝へ得るか?

今の学校教育に必ずしも大きな不満があるといふわけではないが、学校と家庭との協力や連絡が、事実空文の上で尊重されてゐる結果について、これは、子供を持つ母親の全部がとくと考へて見なければならぬ時機だと思ふ。

皆さんは、家庭以外に於ける自分の子供のことを知らなさすぎ、学校に於けるよその子供のことに全く無関心だといふ怖るべき怠慢さについて反省なさつたことはありますか?

医者も、教師も、それぞれ、専門家としてのプライドを傷けられたくないのである。

完

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