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TORENDIA

丹藤川〔「家長制度」先駆形〕

本文約360字 ・ 読了時間 約1分

あらすじ(AIが作成しました)

炉端で家長が黙って娘を打ったらしい気配を、外から来た「私」が息をひそめて窺う、宮沢賢治の「家長制度」の先駆形となった掌編。

宮沢賢治

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🎧 丹藤川〔「家長制度」先駆形〕 / 朗読音声: VOICEVOX:もち子さん

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火皿は油煙をふりみだし、炉の向ふにはこの家の主人の膝が大黒柱を切って投げ出しどっしりがたりと座ってゐる。

その息子らは外の闇から帰って来た。肩はばがひろくけらを着て馬を廐へ引いて入れ、土間でこっそり飯をたべそのまゝころころ寝てしまった。

もし私が何かまちがったことを云ったらそのむすこらの一人でもすぐに私を外のくらやみに連れ出すだらう。

火皿は黒い油煙を揚げその下で一人の女が何かしきりに仕度をしてゐる。どうも私の〔膳〕をつくってゐるらしい。それならさっきもことはったのだ。

ガタリと音がして皿が一枚床板の上に落ちた。

主人はだまって立ってそっちへ行った。

三秒ばかりしんとした。

主人は座へ帰ってどしりと座った。

どうもあの女はなぐられたらしい。

音もさせずに撲ったのだな。その証拠には土間がいやに寂かだし主人のめだまは黄金のやうだしさ。

完

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