つばめの話
本文約1,700字 ・ 読了時間 約4分
あらすじ(AIが作成しました)
夏の初めに飛来するつばめが、太郎の家の軒先に巣を造り、子育てを経て秋に飛び去る日々が繰り返される。太郎はつばめの帰還を心待ちにするが、ある年、つばめが戻らない事態に直面する。心配する太郎の夢の中に一羽のつばめが現れ、南の国へ向かう途上の暴風雨によって仲間たちと離ればなれになった過酷な旅路を語る。本作は、少年とつばめの心温まる交流と、自然界の過酷な運命に翻弄される命の姿を描く。
💰 この本を応援する(投げ銭)
上
夏の初めになると、南の方の国から、つばめが北の方の国に飛んできました。そして、電線や、屋根の上や、高いところに止まって、なきました。広い野原の中を汽車がゆくときに、つばめは、電線の上に止まって、じっとながめていたこともあります。また、青い海辺に連なる電線に止まって、海の方を見ていたこともあります。けれど、また町の人家の店頭に巣を造って日が暮れるころになると、みんな家の中の天井の巣の中に入って休みます。そして、夜が明けると外に出て、空や往来の上をひらひらと飛びまわってないているのでありました。
太郎は、ほかの家には、つばめが巣を造って毎日、店頭から出たり入ったりするのを見て、なぜ自分の家にも巣を造らないのかと思いました。そして、このことをお母さんに話しますと、
「つばめが、巣の造れるように、場所を造ってやらなければなりません。」
と、お母さんはいわれました。
「どうか、つばめが巣の造られるように場所を造えてください。」
といって、太郎はお母さんに頼みました。
太郎のお母さんは、このことを太郎のお父さんに話しました。お父さんは、店頭の梁へ箱のように板をつけました。こうしておけば、どこかいい場所がないかと探しているつばめが見つけて、きっとここに巣を造るにちがいないからであります。
太郎は、早くつばめがここにくるようにと待っていました。すると、ある日のこと、つばめが入ってきてこの場所に止まりました。そのつぎには、二羽でここにやってきました。そして、そこに止まって頭をかしげてなにやら考えているようなようすでありましたが、その日から毎日、二羽のつばめは、どこからか、土や、髪の毛や、わらくずなどをくわえて運んできて、せっせと巣を造りはじめました。そして、やがて完全に巣を造ってしまいますと、雌鳥は巣について卵を産みました。夏の半ばころには、もはやつばめの子供がなくようになりました。太郎はかわいくてたまりませんでした。そのうちに秋がきて、秋も半ばを過ぎますと、つばめはどこにか、みんな飛んでいってしまいました。
下