煙と兄弟
本文約680字 ・ 読了時間 約2分
あらすじ(AIが作成しました)
秋の日の夕暮れ、窓の外を眺める少年は、煙突から立ち上る煙を空へ共に昇ろうとする兄弟の姿に見立てる。風に引き裂かれる煙を哀れむ少年の言葉に、母親は深い感銘を受ける。彼女は人間の兄弟や親子の絆について語り、損得で争う世の無情を憂える。この対話を通じて、少年は将来決してそのような大人にはならないと母親の膝で誓う。温かな母子の情愛と、少年の純粋な心が織りなす物語を描く。
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うすぐもりのした空を、冷たい風が吹いていました。少年は、お母さんの、針仕事をなさる、窓のところで、ぼんやり、外の方をながめていました。もはや、木の葉がうすく色づいて、秋もふけてきました。
「さっきから、そこで、なにを見ているの。」と、お母さんが、少年のようすに気がついて、聞かれました。
「ぼく、煙を見ていたの。」
お母さんは、ちょっと手を止めて、その方を見ると、となりの家の煙突から青白い煙が上っていました。
「お風呂の煙でしょう。」
それは、少年にわかっていました。彼は、それを知らなかったのでありません。
「そうじゃないの。先に出た煙が、あとからくる煙をまっていて、いっしょに空へ上がろうとすると、いじわるい風が吹いて、みんな、どこへかさらっていくのだよ。だって、同じ木から出た兄弟だろう。かわいそうじゃないか。」と、少年は、いいました。
お母さんは、しばらく、煙を見ていました。人間にたとえれば、手をとり合って、おぼつかなく、遠い道をいくようです。
「そう考えるのが、正しいのですよ。どこの兄弟も、やさしいお母さんのおなかから生まれて、おなじ乳をのんで、わけへだてなく育てられたのです。それを大きくなってから、すこしの損得で、兄弟げんかをしたり、たがいにゆききしないものがあれば、また中には、大恩のある、母親をきらって、よせつけないものがあるといいますから、世の中は、おそろしいところですね。」と、なにか深く感じて、こういった、お母さんの目には、光るものがありました。このとき、
「ぼくは、そんな人間に、ならないよ。」と、少年はお母さんのひざに、とびつきました。
完