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TORENDIA

貧富幸不幸

本文約5,900字 ・ 読了時間 約12分

あらすじ(AIが作成しました)

貧富と幸不幸の関係を論じる。世間一般では貧しさを不幸、富を幸福と見なす傾向があるが、これは味覚の幼さになぞらえられる主観的で誤った妄信である。貧困への強迫観念こそが真の幸福を自ら遠ざけており、富者であってもその強迫から逃れられない例は多い。本作は、貧富の概念を幸福から切り離し、それらに囚われず今を懸命に生きることこそが、真の幸福であると説く。

幸田露伴

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🎧 貧富幸不幸 / 朗読音声: VOICEVOX:もち子さん

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もしそれ真の意味に於て言を為せば、貧と富とは幸福と不幸福とに対して相即くところは無い。貧でも幸福であり得、また不幸福であり得、富でも不幸福で有り得、また幸福で有り得るからで有る。しかし世上普通の立場に於て言を為せば、貧ということは不幸福を意味し、富ということは幸福を意味することになって、貧富は幸不幸に相即くものとなって居る。貧は不自由と少能力との体であり、富は自由と多能力との体であるからであり、また実際に於て世人の多数は、体験上に貧即不幸、富即幸の感を繰返すことの少く無い記憶からそう認めているのである。

理窟は附けかた次第のものである。感じは変移不定のものである。どちらも余り当にはならない。貧富を幸不幸から引離してしまおうというのも、理窟は兎に角、余り甘心する人はあるまい。貧富を幸不幸に即けてしまおうというのも、そんなに面白い見解では無い、俗過ぎる。

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