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TORENDIA

のろまのハンス

本文約4,500字 ・ 読了時間 約10分

あらすじ(AIが作成しました)

知識豊かな二人の兄は、お姫様との結婚を目指して王の御殿を目指す。一方、兄弟から相手にされない末っ子のハンスは、ヤギに乗り、道中で拾ったカラスや木靴、泥を携えて向かう。御殿で他の候補者たちが会話に窮する中、ハンスは持ち前の率直な言動でお姫様を喜ばせ、彼女との対話を通じてその場を切り抜ける様子を描く。飾り気のないハンスが、一風変わった方法で王の座を射止めるまでを追う物語である。

ハンス・クリスチャン・アンデルセン Hans Christian Andersen

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🎧 のろまのハンス / 朗読音声: VOICEVOX:玄野武宏

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あるいなかに、古いお屋敷がありました。そのお屋敷には、年をとった地主が住んでいました。地主にはふたりの息子がありましたが、ふたりとも、ものすごくおりこうで、その半分でもたくさんなくらいでした。ふたりは、王さまのお姫さまに結婚を申しこもうと思いました。どうしてそんなことを考えたかというと、じつは、こうなのです。お姫さまは、だれよりもじょうずにお話のできる人をお婿さんにする、と、国じゅうにふれまわらせていたからです。

そこで、ふたりは、一週間のあいだ、いろいろと準備をしました。つまり、それだけしか、ひまがなかったのです。でも、それだけあればたくさんでした。なぜって、ふたりには予備知識というものがあったからです。しかも、この予備知識というものは、いつでも役に立つものなのです。ひとりは、ラテン語の辞書を全部と、町の新聞を三年分、すっかり、そらでおぼえていました。おまけにそれが、前からでも後からでも、自由じざいだったのです。もうひとりは、組合の規則を残らずおぼえていて、組合長ならだれでも知っていなければならないことを、ちゃんと心得ていました。ですから、政治のことなら、だれとでも話すことができるつもりでいました。それに、じょうひんで、手先も器用でしたから、ウマのひきがわにししゅうをすることもできました。

「お姫さまは、わたしがもらう!」と、ふたりとも言いました。おとうさんは、めいめいに、りっぱなウマを一頭ずつやりました。辞書と新聞とをそらでおぼえているほうの息子は、炭のように黒いウマをもらい、組合長のようにりこうで、ししゅうのできる息子は、乳色の白いウマをもらいました。それから、ふたりは口ばたに肝油をぬって、よくすべるようにしました。召使の者はみんな中庭へ出て、ふたりがウマに乗るのを見ていました。

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