わるい王さま(伝説)
本文約3,400字 ・ 読了時間 約7分
あらすじ(AIが作成しました)
世界征服という野望を抱き、火と刀で国々を蹂躙し、莫大な宝と権力を手にした傲慢な王。神をも征服しようと企て、空飛ぶ船で天界を攻めるが、天使の血を受けた船は墜落する。懲りずに七年をかけて再挑戦する王のもとへ、神は小さなハチの群れを送り込む。王は必死に抵抗するが、一匹のハチに耳を刺されたことで毒が回り、自ら着物を引き裂いて狂ったように踊り出す姿を、兵隊たちに嘲笑される事態へと追い込まれていく。
💰 この本を応援する(投げ銭)
むかしむかし、心の高ぶった、わるい王さまがいました。この王さまは、わしの力で、世界じゅうの国々をせいふくしてやろう、わしの名前を聞いただけで、あらゆる人間をふるえあがらせてやりたいものだ、と、こんなことばかり考えていました。
王さまは、火と刀を持って、国から国へと進んで行きました。王さまの兵隊たちは、畑の穀物をふみにじり、農家に火をつけました。赤いほのおは、めらめらと燃えあがって、木々の葉を焼きはらいました。あとには、まっ黒こげの枝に、焼けた木の実が、ぶらさがっているばかりでした。
かわいそうに、おかあさんたちは、生れたばかりの、はだかの赤んぼうをかかえて、まだ、ぶすぶすと煙のあがっている、かべのかげにかくれました。ところが、兵隊たちは、すみからすみまで、さがしまわりました。うまく、おかあさんと子供を見つけると、まるで悪魔のように、よろこびました。どんなにわるい悪魔でも、これ以上にひどいことはできなかったでしょう。ところが、王さまときたら、こんなことをしても、あたりまえのことのように平気でいるのでした。
王さまの力は、一日、一日と、強くなりました。王さまの名前を耳にすると、だれもかれもが、ふるえあがりました。王さまのすることは、いつもうまくいきました。占領した町からは、黄金や、たくさんの宝物を、持ってかえってきました。王さまの都には、世界じゅうの宝が、山と積みあげられました。これほどの宝は、どんな都にも見られません。
王さまは、りっぱなお城や、お寺や、アーケードなどを、つぎからつぎへと、たてさせました。そのすばらしいありさまを見た人たちは、みんな口をそろえて、
「なんという、えらい王さまだ」と、ほめそやしました。
もちろん、こういう人たちは、よその国の人たちの受けている、苦しみのことなどは、考えてもみませんでした。焼きはらわれた町から聞えてくるため息や、なげき悲しむ声には、耳をもかたむけなかったのです。
王さまは、黄金の山をながめ、りっぱな建物をながめました。そのたびに、大ぜいの人たちと同じように、こう思いました。