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TORENDIA

生活文化の建設

本文約1,900字 ・ 読了時間 約4分

あらすじ(AIが作成しました)

北満のロシア人の生活視察を機に、日本人の生活法の改善を論じる。住居の暖房や衣服の調節、家族団欒の時間など、些細だが合理的な生活様式の改善が、国民のエネルギーの有効活用と生活の豊かさに繋がると提言する。また、ハルビンのロシア人芸術家や劇団の活動状況を紹介し、日本人の特性を活かした独自の生活文化の建設と、芸術活動への支援の必要性を綴る。

岸田國士

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🎧 生活文化の建設 / 朗読音声: VOICEVOX:もち子さん

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今度満洲の特に北満に居住するロシア人の日常生活を視る機会を得て感じたのは、民衆の娯楽といふことである。日本内地でも近頃は「健全な娯楽」が当局者の間でもまた民間でも考へられてゐるやうだが、然し特別な娯楽施設といふものは考へられてゐないやうだ。

現在の生活技術を身につけて、生活自体の中に生活を楽しむ要素を織り込むやうにすれば、そこに初めて健全な娯楽を生み出す用意が出来る。日本人はどうも健全な生活法に関して無関心であり過ぎる。それでは結局外に娯楽を求めるやうになる。それ故に、現代の生活法の研究から先づ始めなければならぬと思ふ。

わが国で考へらるべき文化問題の根本も実はそこにあるのではなからうか。殊に大陸に於ける指導民族としての資格をもつためには、現在のやうな日本人の生活法では非常にまづいと思ふ。一方では各種の仕事の上で優秀な技術と能力を有する日本人が、一とたび生活法といふ点になると非常な弱点を暴露する。これではいけない。日本の国民が挙つて新しい方向に向ふ秋に当つて、先づ我々の生活法をもつ、といふことが大切である。

では、この生活法に関してどんな点に私が気づいたかといへば、例へば住居に就て考へてみよう。簡単なことではあるが煖房設備のない、或は不足した部屋に於ける日本人の生活は、能率を非常に下げる。また健康にも影響する。のみならず屋内に於ける団欒といふことの防碍にもなる。

防寒設備のないことが不健康に導くといふことはほんの一例に過ぎないが、次に衣服に就てみるならば、日本人は季節によつて着物を換へる習慣はあるけれども、朝昼晩の気温の変化によつて着物を調節することはしない。それは一面に於て気候が温暖の故でもあるが、現在では屋外に出て仕事をする人が非常に多いのだから、一日中の気温の変化に対して相当の調節を行はなければ、そのために感冒にかゝる心配もある。これは冬ばかりではなく、また気候の変り目ばかりでもない。日本人のかういふ習慣のために例へば寒い北満の土地に移住するといふやうな場合にも健康を害することが少からずあると思ふ。

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