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TORENDIA

三十年後の世界

本文約67,400字 ・ 読了時間 約135分

あらすじ(AIが作成しました)

昭和五十二年、猛暑で日本アルプスの万年雪が溶け、中から謎の金属球が発見される。中には二十年間の冷凍生活を経て目覚めることを願う少年・小杉正吉が封印されていた。現代の科学者らによって無事に目覚めた少年は、火星探検へ向かった叔父の毛利博士を追う探検隊に加わる。一行は火星で未知の脅威に直面しながらも、地球から送られた貴重な補給物資に助けられ、困難を乗り越えて無事に地球への帰還を果たすという物語を描く。

海野十三

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万年雪とける

昭和五十二年の夏は、たいへん暑かった。

ことに七月二十四日から一週間の暑さときたら、まったく話にならないほどの暑さだった。

涼しいはずの信州や上越の山国地方においてさえ、夜は雨戸をあけていないと、ねむられないほどの暑くるしさだった。東京なんかでは、とても暑くて地上に出ていられなくて、都民はほとんどみな地下街に下りて、その一週間をくらしたほどだった。

ものすごい暑さは日本アルプスの深い山の中も別あつかいにはしなかった。アルプス山中の万年雪までがどんどんとけ出した。雪渓の上を、しぶきをあげて流れ下る滝とも川ともつかないものが出来、積雪はどんどんやせていった。

うばガ谷の万年雪のことは、むかしから一番面積のひろいものとして、よく人に知られていた。それはまるで氷河のようにこちこちに固まった古い雪であったが、それさえこんどの暑さで両側からとけだし、日に日にやせていった。登山者たちがおどろいたのもむりではない。

「こんなところに流れがあったかね」

「いや、知らないね。地図でみると、どうしてもここはうばガ谷のはずなんだが?」

「でも、へんよ。地図からはかって、ここはどうしてもうばガ谷よ。この地図をごらんなさい。ほら、この岩」

「なるほどなあ、あれはたしかに三角岩だ。これはおどろいた。おい君、有名な万年雪が今年はすっかりとけてしまったんだぜ」

その人は、とつぜんことばを切って、目を皿のように大きく見ひらいた。

「――何だろう、あれは。……あそこを見たまえ、何だかしらないが、大きなまるい球がある。あの沢の曲ったところだ。見えないかい、君たちには……」

彼はおどろきをこめて、前へのりだしながら下手を指さした。

「なるほど。見えるよ。大きな球だ。ぴかぴか光っているね。金属球だ」

「ふしぎだ。とにかくそばへ行ってみよう」

「おいおい、待ちたまえ。あれは危険なものじゃないか」

「そういえば、昔の写真に出ている機雷みたいな形をしていますわね」

「ふん、機雷に似たところもあるけれど、機雷は海の中にあるもので、こんな山の中にあるはずがない」

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