宇宙の迷子
本文約42,200字 ・ 読了時間 約85分
あらすじ(AIが作成しました)
原子力エンジンが普及した1970年代、少年である川上一郎と山ノ井万造は、月の探険へと旅立つ。月へ向かう宇宙艇カモシカ号に乗り込んだ二人は、重力平衡圏や宇宙塵の危険を乗り越えようとする。しかし、予期せぬ事態により未知の存在である三本腕の怪物と遭遇し、さらに宇宙の彼方から地球へと接近する謎のジャンガラ星を巡る壮大な騒乱へと巻き込まれていくことになる。
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ゆかいな時代
このゆかいな探険は、千九百七十何年だかにはじめられた。いいですか。
探険家はだれかというと、川上一郎君、すなわちポコちゃんと、山ノ井万造君、すなわち千ちゃんと、この二人の少年だった。
川上君は、顔がまるく、ほっぺたがゴムまりのようにふくらみ、目がとてもちいさくて、鼻がとびだしているので、まめタヌキのように、とてもあいきょうのある顔の少年だ。タヌキはポンポコポンであるから、それをりゃくして川上君のことを友だちはポコちゃんとよんでいる。とてものんきな、にぎやかな子どもだ。
山ノ井君のほうは、顔が丸くなく、上下にのびていて、頭は大きく、あごの先がとがっていて、どこかヘチマに似ている。ヘチマ君とよばないで、ヘチマのチを千とよみ、千ちゃんとよばれているが、それは山ノ井君はなかなか勉強がよくでき、友だちにしんせつで、級長をしているくらいだから、ヘチマとはよばないのだった。
この二人はたいへん仲がよくて、いつも二人つながってあるいていたり、あそんだり勉強したりしている。だからこの二人が組んで、探険に出かけるのはもっとものことだ。
探険――などというと、むかしはたいへん大じかけな、お金のうんといる事業のようにいわれたものだ。そのくせ探険のもくてき地はアフリカの密林の中とか、北極とかで、みんなこのせまい地球の上にある場所にすぎなかった。いまはそうではなく、探険といえば、たいてい地球の外にとびだしていくのだ。年号が千九百七十年代にはいると、世界中の人々がこの宇宙探険熱にとりつかれ、われもわれもと探険に出かけるようになった。探険がかんたんにできるようになったわけは、もちろん原子力エンジンが完成したせいである。
原子力エンジンは、小型のものでも、何億馬力の力をだす。その原料はすこしでよい。昔はガソリンや石炭をつかっていたが、あんなものはうんとたいても、いくらの力も出やしない。原子力エンジンが世の中に出るようになってから、ガソリンも石炭もただみたいにやすくなったが、それは原子力エンジンにくらべると、たいへん能率のわるいエネルギーの源だからである。