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TORENDIA

ある少年の正月の日記

本文約990字 ・ 読了時間 約2分

あらすじ(AIが作成しました)

十二歳になった少年が、正月に経験した日常を日記形式で綴る。父親の代理として名刺を持って年始の挨拶回りを行い、親しい友人から届いた年賀状に思いを巡らせ、近所の友人と遊ぶ。弟の様子に将来を案じ、姉が畳を焦がして叱られる様を見て複雑な心境を抱く。窓から差し込む光の中に小さな蜘蛛の活動を見つけ、明日からの学校生活に向けて、恩師への挨拶や予習への意欲を胸に、静かに正月の終わりを迎える少年の視点から見た冬の風景を描く。

小川未明

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🎧 ある少年の正月の日記 / 朗読音声: VOICEVOX:春日部つむぎ

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一月一日

学校から帰ると、お父さんが、「今年から、おまえが、年始におまわりなさい。」といって、お父さんの名刺を四枚お渡しなさった。そうだ、僕は、十二になったのだ。十二になると、お父さんのお代わりをするのか、知らないけれど、急に、自分でも大人になったような気がする。お母さんから、あいさつのしかたをならって、まずお隣からはじめることにして、出かけた。

一月二日

たくさんの年賀状の中に、僕にきたのが二枚あった。川田と西山からだ。学校で、いちばん親しい二人なのだ。なぜ、僕も早く書いて出さなかったろう。もらってから、出すのでは、なんだか冷淡のような気がする。いっそ、二人のところへ訪ねてゆこうかしらんと考えたが、お正月は、めいわくだろうと思ってやめた。二枚とも、「遊びにきたまえ。」と、書いて出した。

一月三日

お隣の勇ちゃんがきて、寒ぶなを釣りにいかないかと誘った。勇ちゃんは、中学の三年生だ。去年の暮れ、釣り堀へいったときに、おじいさんが、「新年は、三が日の間懸賞つきで、寒ぶなをたくさんいれますよ。」と、いったからだろう。僕、新年早々、殺生するのはいやだといったら、勇ちゃんもゆくのをよして、二人で、ボールを投げて遊んだ。

一月四日

昼ごろ、カチ、カチ、という、ひょうし木の音がきこえる。今年から学校へゆく弟が、「あいつはせっかちだから、おもしろい! やあやあ、コテツが、泣きおるわ。いま血をすわせてやるぞ……。」と、紙芝居の、チャンバラの手まねをして駆けだす。僕は、悲観してしまった。

一月五日

姉さんが、カルメ焼きを造るといって、火を落として、新しい畳の上に、大きな焼け穴をあけた。そして、お母さんにしかられた。いつも、僕たちが、畳をよごすといって、しかられるので、ちょっと痛快に感じた。

一月六日

外で、たこのうなり声がする。窓を開けると、あかるく日が射し込む。絹糸よりも細いくもの糸が、へやの中にかかって光っている。へやがあたたかなので、目にはいらないが、冬もこうしてごく小さなくもが、活動しているのを知った。

一月七日

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