人魚の姫
本文約30,100字 ・ 読了時間 約61分
あらすじ(AIが作成しました)
海の底にある人魚の国で、末娘の人魚姫は、沈没した船から流れ着いた人間の少年の大理石像を庭で大切に育てていた。人間の世界に憧れを抱く彼女は、いつか地上へ上がりたいと願う。人魚は三百年生きるが魂を持たず、死後は海の泡となる運命にある。人間の魂を得るため、そして自身が辿る道を求めて、人魚姫は人間の王子との関わりを経て、空気の精として神の国へ向かう試練の旅路へと昇華していく物語を描く。
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海のおきへ、遠く遠く出ていきますと、水の色は、いちばん美しいヤグルマソウの花びらのようにまっさおになり、きれいにすきとおったガラスのように、すみきっています。けれども、そのあたりは、とてもとても深いので、どんなに長いいかり綱をおろしても、底まで届くようなことはありません。海の底から、水の面まで届くためには、教会の塔を、いくつもいくつも、積みかさねなければならないでしょう。そういう深いところに、人魚たちは住んでいるのです。
みなさんは、海の底にはただ白い砂地があるばかりで、ほかにはなんにもない、などと思ってはいけません。そこには、たいへんめずらしい木や、草も生えているのです。そのくきや葉は、どれもこれもなよなよしています。ですから、水がほんのちょっとでも動くと、まるで生き物のように、ゆらゆらと動くのです。
それから、この陸の上で、鳥が空をとびまわっているように、水の中では、小さなさかなや大きなさかなが、その枝のあいだをすいすいとおよいでいます。
この海の底のいちばん深いところに、人魚の王さまのお城があるのです。お城のかべは、サンゴでつくられていて、先のとがった高い窓は、よくすきとおったこはくでできています。それから、たくさんの貝がらがあつまって、屋根になっていますが、その貝がらは、海の水が流れてくるたびに、口をあけたりとじたりしています。その美しいことといったら、たとえようもありません。なにしろ、貝がらの一つ一つに、ピカピカ光る真珠がついているのですから。その中の一つだけをとって、女王さまのかんむりにつけても、きっと、りっぱなかざりになるでしょう。