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冬も食中毒 ― つけない・増やさない・やっつける、台所の三つの決まり

本文約10,100字 ・ 読了時間 約21分

霧島 蒼

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はじめに ― 食中毒は、夏だけのものではありません

食中毒と聞くと、暑い季節を思いうかべる人が多いでしょう。お弁当が傷む。肉がすぐに悪くなる。そんなイメージです。

ところが、食中毒は、冬にも起きます。

とくに冬は、ノロウイルスという、小さな病原体による食中毒が目立つ季節です。

この本は、家庭の台所でできる、食中毒の予防についてお話しします。むずかしい道具も、特別な薬も、いりません。

お話しする内容は、国の機関が公表している資料にもとづいています。厚生労働省と消費者庁です。

数字や目安は、どの資料のものかを、そのつど添えます。

はじめに、お断りしておきます。

この本は、診断や治療をするものではありません。病気のお話はしません。

体の状態には、個人差があります。持病のある方、妊娠中の方、小さな子どもや高齢の家族がいる方は、かかりつけの医師などにご相談ください。

また、特定の商品や、お店、会社は、おすすめしません。身の回りにあるものと、ふだんの手順だけで、できることを集めました。

全体の流れは、次のとおりです。

まず、食中毒がどのくらい起きているのかを、数字で見ます。

つぎに、予防の考え方である、三つの原則をお話しします。

そのあと、国が示している六つのポイントに沿って、買い物から、残りものの扱いまでを、順番にたどります。

後半では、冬に気をつけたいノロウイルスと、食べものごとの特徴を取りあげます。

最後は、今週すぐに始められる三つのことです。

では、台所に立つつもりで、聞いていてください。

第一章 数字で見る、食中毒

令和七年の食中毒

まず、消費者庁の資料から、数字を見てみましょう。

消費者庁の「細菌・ウイルスによる食中毒」のページには、令和七年、二〇二五年の数字が出ています。

その年、国内で起きた食中毒は、千百七十二件でした。患者の数は、二万四千七百二十七人。亡くなった方は、二人です。

そのうち、細菌やウイルスによるものは、七百八十二件でした。これを全体の件数で割ると、約六十七パーセントになります。これは、筆者の計算です。

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