みにくいアヒルの子
本文約13,300字 ・ 読了時間 約27分
あらすじ(AIが作成しました)
ある池のほとりで卵からかえった一羽の鳥は、兄弟たちとは異なる大きな体と灰色の姿から、周囲に疎まれていじめを受ける。居場所を失ったその鳥は、冬の寒さや度重なる苦難に耐えながら、あてもなく各地を転々とする。やがて春が訪れ、美しい白い鳥たちの姿を見かけた鳥は、自分の命を投げ出す覚悟で彼らへと近づいていく。そこで水面に映し出された自らの姿を見た鳥は、過酷な境遇を経てついに自分自身の真の姿を知ることになる。
リクエストが集まると、作家に音声化の需要が伝わります。
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いなかは、ほんとうにすてきでした。夏のことです。コムギは黄色くみのっていますし、カラスムギは青々とのびて、緑の草地には、ほし草が高くつみ上げられていました。そこを、コウノトリが、長い赤い足で歩きまわっては、エジプト語でぺちゃくちゃと、おしゃべりをしていました。コウノトリは、おかあさんから、エジプト語をおそわっていたのでした。
畑と草地のまわりには、大きな森がひろがっていて、その森のまんなかに、深い池がありました。ああ、いなかは、なんてすばらしいのでしょう! そこに、暖かなお日さまの光をあびて、一けんの古いお屋敷がありました。まわりを、深い掘割りにかこまれていて、へいから水ぎわまで、大きな大きなスカンポが、いっぱいしげっていました。スカンポは、とても高くのびていましたから、いちばん大きいスカンポの下では、小さな子供なら、まっすぐ立つこともできるくらいでした。そこは、まるで、森のおく深くみたいに、ぼうぼうとしていました。
ここに、アヒルの巣がありました。巣の中には、一羽のおかあさんのアヒルがすわって、今ちょうど、卵をかえそうとしていました。けれども、かわいい子供は、なかなか生れてきませんし、それに、お友だちもめったに、あそびにきてくれないものですから、今では、もうすっかり、あきあきしていました。ほかのアヒルたちにしてみれば、わざわざ、このおかあさんのところへ上っていって、スカンポの下におとなしくすわって、おしゃべりなんかするよりも、掘割りの中を、かってに泳ぎまわっているほうが、おもしろかったのです。
とうとう、卵が一つ、また一つと、つぎつぎに割れはじめました。ピー、ピー、と、鳴きながら、卵のきみが、むくむくと動き出して、かわいい頭をつき出しました。
「ガー、ガー。おいそぎ、おいそぎ」と、おかあさんアヒルは、言いました。すると、子供たちは、大いそぎで出てきて、緑の葉っぱの下から、四方八方を、きょろきょろ見まわしました。そのようすを見て、おかあさんは、みんなに見たいだけ見せてやりました。なぜって、緑の色は、目のためにいいですからね。